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犬は友達

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映画「ウォール街(原題:Wall Street)」を観た。

この映画は1987年のアメリカ映画で、映画のジャンルは金融ドラマだ。

この映画では、株のインサイダー取引が、メインになっている。株のインサイダー取引とは、株の市場に参入している会社の内部情報を、その情報が公式に公開される前に手に入れて、その非公式な情報をもとに、株取引を行うことだ。

インサイダー取引は違法な行為であり、インサイダー取引を行った者は逮捕されて刑務所行きになる。非公式な情報を手に入れるのには、自分と交流のある人物の親族の身分を利用して、その親族の、内々のその親族が勤める会社の内部事情を、聴きだす方法などがある。

この映画の主人公バド・フォックスも、インサイダー取引をすることになる。そして、バドにインサイダー取引を教えるのは、ゴードン・ゲッコーという株で大金を儲けている人物だ。

バドには航空会社に勤めている父親がいる。そのバドの父親は会社の内部情報を知っている。その情報とは、バドの勤めている父親の航空会社が事故を起こしたこと。しかし、その事故の原因はバドの父親の勤める航空会社の責任ではなかったこと。

飛行機メーカーの設計ミスで、事故が起こったことがわかった。そのため、バドの父親の勤める航空会社は事故の責任をとる必要は無くなった。バドの父親の航空会社は、事故の責任をとる、つまり金を払う必要がなくなったので、会社の金を経営の拡大に使うことにした。

このバドの父親の勤めている航空会社の情報を、バドの父親から聞いたバドは、ゴードン・ゲッコーの取引に参加させてもらうために、その非公式なバドの父親の航空会社の内部情報をゲッコーに教える。

ゲッコーはその非公式な内部情報により、バドの父親の勤める会社の株式を買い占めることにより、儲けを出す。バドの父親の勤める航空会社の株の値段は高くはない。しかし、バドの父親が勤める航空会社が経営を拡大することになれば、株取引をする人はそれをバドの父親の航空会社の経営の成長と見る。

ゴードンは、バドの父親の勤める航空会社の経営拡大の非公式の話を聞いて、その非公式の情報により、その情報が公式になった時にバドの父親が勤める会社の経営が良くなることを、株取引をする者が予想して株を買うだろうと、あらかじめ予測する。

そして、バドの父親の勤める航空会社の株式は、そのまだ非公式な情報が出る前は安いので、安いうちにバドの父親の勤める航空会社の株を買い占めて、バドの父親の航空会社の経営が拡大するという情報が公式になり、株価が上がったところで、ゴードンはその株を売る。ゴードンは、バドの父親が勤める会社の株を安く買い、その後高く売って、差額を儲けにする。

ゴードンはこのようなインサイダー取引で、儲けを出している金融マンだ。そしてそれは違法だ。だが、ゴードンは捕まらない。なぜなら、ゴードンの違法行為に知ったり、ゴードンの違法行為に参加させられるバドのような人物は、ゴードンによって儲けさせてもらったり、恋人を与えられたりしているからだ。

ゴードンはインサイダー取引をするために、情報を集めることに血眼になっている。ゴードンは金の亡者、情報の亡者だ。情報がお金儲けの鍵だ。だからゴードンは、情報を集めるためにどんなことでもする。

ゴードンはバドに言う。「俺の知らない情報を持ってこい」と。ゴードンはつまりは、情報通なのだ。そこらじゅうの情報をかき集めて、その情報からお金儲けをする。そして、その情報は、金にならなければクズとされるのだろう。

株が大量に買われるということは、その株の発行者である会社の業績が上向くということだ。そして、株が大量に売られるということは、その株の発行者である会社の業績が下降していくということだ。

だから、株の値が上がれば、その株はドンドン買われ株の値が上がっていく。株の値が下がれば、その株はドンドン売られて、株の値が下がっていく。

株を安いうちに勝って、高くなって売れば、その差額が儲かる。その差額が、ゴードンのような金融マンのねらい目だ。そしてそこでは、情報が重要になってくる。

この映画を観る時にこのような基礎知識がないと、映画を十分に楽しむことができないかもしれない。だが、この映画はテンポが良く、セックスと、ドラッグが登場して、音楽もロックが流れる。そして、血も流れる。

つまり、この映画は金融映画でありながら、セックス・ドラック・ヴァイオレンス・アンド・ロックロールのハリウッド映画だ。それだけで、映画を観る者は、この映画に引き込まれる。金融取引がわからないといまいち映画をつかめないが、この映画にはハリウッド映画の魅力が詰まっている。

この映画をフェミニズムの視点で観るとどうだろうか? 金融の仕事の世界は、男の世界だ。ゴードンやバドの行動や発言を観ていると、そう思わざる得ない。女はゴードンにとっては道具だ。そして、その道具の女性は自分が非力であると、自分から言う。

その自分を非力であると自認する女性の一人が、バドがゴードンから紹介されるダリアン・テイラーという女性だ。ダリアンはゴードンに囲われている。ダリアンは、ゴードンの愛人であり、ゴードンに養ってもらい、そのゴードンへの返礼としてバドと付き合う。

バドもゴードンがいなくては、ただの証券会社のサラリーマンだ。だから、バドもダリアンも似たもの同士だ。バドは、ゴードンに女をあてがわれ性的サービスを受けて、性欲を満たされる。ダリアンは、ゴードンにバドをあてがわれて性欲を満たされる。

いい女、いい男、であれば、性欲のはけ口として問題はない。ただ、それにより、コントロールをしているのは、ゴードンだ。ゴードンはダリアンを、バドをコントロールするために道具として使っている。そしてダリアンは社会的地位の低い女性であるため、ゴードンに逆らえない。

ダリアンはゴードンに対して「あんなクソ男嫌よ。お前なんかくたばっちまえ!!」とは口が裂けても言えない。それは、ダリアンが貧しい生まれであるためであり、そして男にあてがわれるのは、ダイアンが女という男に従属する立場だからだ。

ダイアンは、ゴードンに服従する。貧しいゆえに。そして女であるがゆえに。そして、それに乗っかっているのがバドと言う男だ。きっとこの映画「ウォール街」は、フェミニストから観るととてもくだらない男性本位の映画だということになるだろう。

金融マンという男根主義女性差別者たち。金融マンの友達は犬。人間は友達にはならない。なぜなら、金が一番の人には、友達はできないからだ。そして、今世界は、なぜだか金融を重んじている。それは、非常に不快なことだ。


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